今回は、2017年2月8日(水)に01Boosterにて行われたパネルディスカッションイベント「コーポレートアクセラレーター x 大学研究者が語る「Japan as イノベーション大国いよいよ起動!」についてレポート致します。当日は満席の中、村上氏と01Boosterで「日本企業や日本の人材がイノベーションを起こすためには何が必要なのか」をテーマに激論が繰り広げられました。
01Boosterのセミナーイベント構成は、ネットワーキング→セミナー→ネットワークというスタイル。
この日も開場と同時に、会場の至る所でネットワーキングが開始されます。01Booster共同代表の合田ジョージによると「アメリカなど事業創造が強いところは何処もこのスタイルをとっている。一番重要なのはコミュニティであって、人のネットワークそのものに価値がある。それを作りたいので、このスタイルにさせていただいている」とのこと。その後、セミナーパートへと移っていきます。
まずは、01Booster合田による01Boosterの概要・事業内容説明からスタートです。
<合田>
今日は露骨に本音で喋った方がいいですよね?世界はすごく進んでいて、その話をさせていただければと思っています。鈴木からは現場からみて何が起きてるかについて、村上さんからはグローバルの視点で皆さんにお話していただけたらと思っています
次に、01Booster代表取締役 鈴木規文が「コーポレートアクセラレーターから見た日本のイノベーション」と題し、実務面でぶつかっている大手企業の意識を「事業開発の誤解」「オープンイノベーションの誤解」として各事例を交え紹介しました。
<鈴木>
皆様、ようこそ、ゼロワンブースターに。
01Boosterでは、今までにアクセラレータープログラムを14本運営してきました。
また、毎日多くの大手企業とディスカッションをし、毎週どこかの地方都市で創業プログラムを開催しています。その経験から蓄積された現場の情報を披露したいと思います。今日はそれを、村上先生の検証と照らし合わせたいと思っています。
<事業開発の誤解>
・社内人材を教育すれば事業は起きる
・いいアイディアさえあれば、事業は生まれる
・大きなホワイトスペースがあるはずだ
・破壊的イノベーションは評価できないのではない(ダメだという評価をする)
・合理性のある綺麗な事業計画を作成しなければ事業は生まれない
・失敗は悪である
<鈴木>
大手企業が新規事業をやろうとすると、「破壊的イノベーション」にはならず、「持続的イノベーション」領域にしか到達しません。本業を破壊し、本業を否定する行為はできないのか?アイディアは二束三文、実行にこそ価値があります。起業時に綺麗なビジネスプランは必要ありません。「実行」が繰り返されるオープンイノベーションが社内事業開発の活性化に繋がります。
<オープンイノベーションの誤解>
・ベンチャー企業は自社の望む事業領域を埋めてくれる
・ベンチャー企業は自社の言うことを素直に聞いてくれる
・ベンチャー企業は革新的なアイディアを持ってきてくれる
<鈴木>
オープンイノベーションが今非常にブームになっています。しかし、これは企業にとっての下請業者探しではありません。もちろん、ベンチャー企業は大手企業のために事業を作るわけではないので、意見が食い違うこともあります。ベンチャーが革新的なアイディアを持ってきてくれるというのも誤解で、「破壊的イノベーション」の種はむしろ、技術的には大手企業の中に最初あったというケースが多く、実施の意思決定までにたどり着いていないだけなのです。
<コーポレートアクセラレータとは>
本体から切り離した出島環境で
・ベンチャー企業の実行力、覚悟・執念を活用
・失敗コストを制限し※出資
・リスクを外部化し
・スピード感を持って
・数多くトライできる
事業開発方法の一つ
そして、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 青山学院大学大学院 法学研究科 客員教
村上恭一 氏 による 講義です。
<村上氏>
ゼロワンさんには我々の授業に来ていただきました。学生正直ですね~アンケートに、今までの授業の中で一番面白かったですと!
<村上氏>
私の分野が、「マーケティングと知財と人事 って変わってますね」って良く言われますが、世界から見たら当たり前です。イノベーションとは発明と市場開拓だからです。特許・ノウハウといった果実がそのままでは経済・社会にアウトカムをもたらさないというのは当たり前のことなんですよね。また、ダイバシティが高い集団でなければブレイクスルーは起こせないのです。
<世界の動きからの提言>
共同体をうまく構築する企業の中身の人事政策としては
・年功序列賃金
・競争廃止(業績評価廃止)
・競争を会社の中から廃止・駆逐していく
・かつ終身雇用制をとる・心理的安全性の確保が必要
・共同体がイノベーションでは必要条件
<村上氏>
こういう事を言うと、「評価はしない」「プレゼンはしない」「解雇はしない」で経営が成り立つのか???なんて大手企業の経営陣からの批判が殺到するんですけど、競争してるってことはもうイノベーティブじゃない。競争しているということはもうすでに基準があるということで、基準があること自体もうすでにイノベーティブではないのです。実際にGEは人事制度に競争がない形に組み替えていますね。共同体を築こうとしない限り日本企業に未来はないです。
この後、休憩を挟んで<パネルデイスカッション>へと移ります。
このレポートの続きは→【イベントレポート/下】コーポレートアクセラレーター x 大学研究者が語る「Japan as イノベーション大国いよいよ起動!」へ
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