【01Blog】企業の新規事業:経営企画、事業企画、そもそも事業計画のジレンマ

2014.04.17

Startup(起業系)では事業計画は創りますが、そもそもそれがその通り行かないことは暗黙知的に関係者は理解していると思われます。なので事業計画は感覚的にそんな感じになるか?とか意思表示的に見るニュアンスが強く、その起業家に実行力があるかとか?とか情熱は?とか経験は?とかをより重視する傾向が強いと思います。起業家側は数字をいかに創るか?など、もちろん、全く意味が無いものではないのですが、多分に企業の「事業計画」とは大きく性質が異なるものであることをシナプスさん主催の家弓先生のセミナー仕事塾47thにて再認識しました。 企業の新規事業への並々ならぬ想いは、ほぼ満員であったこのセミナーで良く分かりました。参加者はほとんどが企業から有志で来られた熱いお方々です。セミナーに参加された方からは沢山の質問が出ており、なんとか新規事業を創りたいという意気込みに溢れた方々が来ていたとも思います。このような層(ベンチャーと企業の融合を潜在的に求める層)は「マス(Mass)」として大量に出てきているのも事実です。 ただ、私にはいくつかの質問に違和感がありました。大きくは2つです。①失敗しないようにはどうするのか? という話と ②どうやって事業計画通りにするのか? という要素が見られたからです。 起業に関しては、大量に失敗して、それを素早く反省して、リカバリーし、PDCAを回して成功パターンを見つける起業家が勝っていると思います。それは前に述べました。要は、起業はほぼ初動は確実に失敗するのです。その失敗を積み重ねて、そこから成功パターンを見つけ出すプロセスと言ってもよいでしょう。なので、最終的に勝つために失敗のステップを踏むということです。 もちろん、企業は新規事業にある程度の実事業とのシナジーが必要ですし、ブランドもあったりするので起業のようなシチュエーションが起きない場合もあります。但し、求められる金額も大きい(10億〜場合により1000億規模)ですからある程度のイノベーティブな新規事業が必要となると、やはり初動は起業と同じように失敗すると思われ、プロセスは起業に似て、成功パターンを見つけることになるでしょう。問題はこの意識が圧倒的に企業の方々には欠けていると思われました。要は、初動で失敗しないような、いわば成功事例が過去にあるような改善モデルは「新しい商品のラインナップ」や「改善モデル」としてはあり得ますが、企業が本来求めるような「事業の柱になる」新規事業にはなり得ないというジレンマがあると。なので、「良いアイデア」は重要ですが、何か「初動から失敗を回避できるような」魔法のような「良いアイデア」が重要という事を信望してしまうのではないかと? つまり失敗もしないような新規事業は事業の柱にはなり得ないというジレンマの認識が薄いのでは?ということです。「失敗コストの許容」などのアドバイスがありましたが、そもそも、「失敗する」ということへの認識から変える必要があるように感じます。 次に事業計画です。当然、企画部は正確な事業計画を求められます。事業計画にずれて売上が上がったら(喜ばしそうですが!)怒られる!?なんてケースも聞いたことがありませんか? (±5%とかで未来を予測するなんて神のようですね・・)既に回っているビジネスであればそれも可能でしょうが、そもそも、そんなブレない大型のイノベーティブな新規事業なんてありますかね? 既存事業と新規事業を全く同じ土俵で考えてないか?と。 上記を踏まえると、何故、日系企業が新規事業を産めないのかという大きな社会問題のジレンマが見えて来る気がします。もちろん、日本人は真面目ですから、それでもなんとかやろうとして来た。しかし、今後は能力的にどうかというよりも、この新規事業を産めない仕組みを外部で行う真のオープンイノベーションのできる企業が勝ち残って行くのかも知れません。

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