今回は、2017年3月7日(火)に01Boosterにて行われたパネルディスカッションイベント「エンターテイメント業界におけるスタートアップについて語ろう!」についてレポート致します。ゲストに株式会社nana
musicの文原明臣氏をお迎えして行われた本イベント。音楽系スタートアップや企業関係者も多く来場し、エンタメ系スタートアップへの関心度の高さを伺うことがきました!
まずは、01Booster合田による01Boosterの概要・事業内容説明からスタート。
アクセラレータープログラムの詳細に加えて01Boosterの近況として、海外展開や大学との連携などの情報も語られました。また、音楽係のスタートアップの国内、海外での状況も解説しました。
<合田>
アクセラレーションは、名前の通り「加速」ということなんで、ベンチャー企業に対して支援者が張り付いて事業価値を上げるようなプログラムですね。プランを募集して、その方々を選抜させていただいて、4ヶ月間〜5ヶ月間に渡って支援して、最後発表会があります。これを会社さんとやっているのが、コーポレートアクセラレーターです。これは基本的には「ベンチャー企業の企業価値を上げる。ただし出資をします」というモデルなので、行政がやってるものは別として、ベンチャー企業が大手企業に「提案」するものではないんですね。ここに勘違いがあることが多いので先にお伝えしますが、「連携先探し」ではあるが「委託先探し」ではない。先日、ヤマハさんのアクセラレータプログラムが発表され、正に今、ビジネスプランの募集をかけてます、今日ヤマハの方々にもお越しいただいてますが。
今日は、音楽の話をさせていただくと、音楽関係のアクセラレーターって世界ではTechStarsさんがいろんな会社を連携させてベンチャー企業を集めてるのと、MusicProjectというところが3年前くらいからアクセラレータをやってます。その中でどんなビジネスモデルが出てきているかってことですが、今はやはり、「人工知能とブロックチェーン」ですね。
そして、皆様お待ちかねのゲストスピーカー、株式会社nana music 代表取締役CEO 文原明臣氏の講演です。
サービスの概要、誕生秘話に始まり更に突っ込んだ具体的な数字の話やユーザー情報、コラボレーション(PRツールとしてのnana)やリアルイベントの話も語っていただきました。
<文原氏>
「nana」というのは、スマートフォン一つで世界中の人たちと音楽でコラボレーションができるサービスです。例えば僕が歌った歌に、誰かが一緒に合唱してくれたり、僕が弾いたギターに誰かがベースやドラムを重ねてセッションが生まれるというようなものです。音声をただ撮ってシェアするだけのアプリは昔からありましたが、「nana」は音源に対して、重ね撮りする機能があります。このサービス、そもそもなんで作ったのかというと、2010年にハイチ沖地震のチャリティとして製作された「We Are The World 25 For Haiti (YouTube Edition)」の動画を見たのがきっかけです。このチャリティ動画ではインターネットの力であらゆる人種が一緒に音楽をしていたんですが、これを見て「まだ足りない!」と思ったんです。そこで、「常に側にあるスマホで音楽を重ねていくサービス」ができれば、本当の意味で世界中の人たちと歌い合えるんじゃないかと。We Are The Worldという曲の「音楽で世界を繋ぐ」といコンセプトを実現したかったんです。
現在、「nana」は300万ユーザー行きましたが、今後1年間くらいで1000万ダウンロードを目指しています。その過去の道のりを時系列でお話したいと思います。スタートからリリース、資金調達、跳ねたタイミングなど苦労した話と共に(笑)海外の言語にローカライズしたことにより、現在ではダウンロード数でいうと海外が7割くらいになっています。また、PRを着実に行ったことによるネット上のインフルエンサーの使用などで大きな展開になって行きました。質問は、パネルディスカッションの方でお受けできればと思います。突っ込んだ質問も大歓迎です(笑)
続いては、パネルディスカッションへと移ります。01Booster 合田の第一声「VOCALOIDの生みの親、ヤマハの剣持さんが飛び入りで参加していただけることになりました!3分前に頼みました!この方が面白いですよね(笑)」という言葉に、会場もどよめきつつ、nana music の文原明臣氏に加え、急遽ヤマハの剣持氏を迎えてのパネルディスカッションとなりました。
ここでは、内容の一部をレポート致します!
<ファシリテーター>
株式会社nana music 代表取締役CEO 文原明臣氏
ヤマハ株式会社 事業開発部ニューバリュー推進室室長 剣持秀紀氏
01Booster共同代表/合田ジョージ
01Booster/常川朋之
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<常川>
皆さんと双方向でやり取りをしながら、お話を掘り下げて行きたいなと思ってるんですが、私からも質問を。お二人とも事業を立ち上げられた経験の中で、「このサービスはいける」という手応えを感じた瞬間はありますか?
<文原氏>
僕個人の考えですが、新事業を始めるときに極力、マーケットが云々という切り口から入るべきでないと思ってます。例えば自分自身の過去のネガティブなところで、泣ける程悔しかったとか、世の中の仕組みに対して腹がたったとかそんな体験から考えます。そういうところから生まれたサービスってみんな欲しかったものだったり、共感してもらえるものになり得るんじゃないかなと思うんです。そういったものはヒットするかと。
<剣持氏>
2004年に最初にボーカロイド出した時には、思ったほど売れてなくて。いつかは歌も合成でくるんだろうなという予想があって楽観視していたところはあったんですが、やっと2007年頭くらいにニコニコ動画がガンガン周りだして、ひょっとしたらいけるかも・・と思いました。当時は会社の中でも、続けるかどうかって話になったんですけど、「細く長く続けなさい」と言われまして。会社がやらせてくれたっていうのは非常にありがたかったなと思っています。
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この後も会場からは、停滞時期の乗り越え方、アプリに関する内容、日本と海外のユーザーのリアクションの差、PR戦略の詳細、そしてバイアウトについてなどお二人への質問が相次ぎました。
残念ながらイベントレポートでは内容の全てをお伝えしきれませんが、01Boosterではセミナー、ディスカッション、相談会 様々なイベントを企画しております。今後は是非、ご参加下さい。お待ちしております。
「ヤマハ株式会社アクセラレータプログラム」事前説明会を開催予定です。こちらも是非お気軽にご出席ください。