【01Blog】新規事業の失敗を社内で正当化するプロセス Part.1

2015.06.17

ピーター・ティールがZEROtoOneで「どのスタートアップが成功するかを確実に予測できる人間はおらず、ベンチャー投資はべき乗則であるといい、ごく少ない一握りのスタートアップが、そのほかすべての失敗コストをカバーしてありあまるリターンをたたき出す」と説いています。また、Yコンビネーターのポール・グラハムは「すべてのリターンは、大成功するわずかなスタートアップからもたらされる」と言っています。

最近、一部のVCはかなり厳選投資をしはじめていますが、ほとんどのベンチャー投資は失敗するということが経験的には正しそうです。ベンチャー投資や新規事業開発投資の案件単位は「失敗を100%排除することは不可能」ということになります。であれば、ベンチャー投資や新規事業開発の活動全体として「失敗を正当化」する必要があり、その理論的な根拠が多くの企業内新規事業担当者様の武器にならなくてはいけません。

ベンチャー企業の成功確率は1割、企業内新規事業の成功確率が0.5割(正確な統計情報でありませんが、多くの方にとって感覚的な違和感はないかと思います)であれば、それぞれ1つの成功事例を創るためには、9個の失敗、19個の失敗を正当化する必要がでてきます。

その失敗の正当化するためのポイントを以下の通り整理整頓してみます。

①コストは適正に抑えられているか:言い換えれば小さく失敗を重ねることが必要になります。スタートアップの世界ではリーンスタートアップのコンセプトが当たり前になってきていますが、企業内では未だ適用されていないケースが多いです。

②レピュテーションリスクや本業への悪い影響は隔離できているか:失敗による本業のブランド毀損リスクを過度に意識することによりチャレンジングな取り組みができなくならないように、また社内からの批判や摩擦から、事業開発を一定隔離する必要があります。

③数多く取り組むことができ、その1件1件を執念もって取り組めるか:成功確率が小さいのであれば、チャレンジの母数を増やさなくてはなりません。上記①②を達成したうえで数多く実施する必要があります。そして、その1件1件に魂を込めて実行する人材をアサインする必要があります。当然ですが、結果論は別としても、すべて成功させるつもりでやるわけなのですから。

④最適資源調達ができ、また速やかに撤退できるか:上記③を達成しようとすると必然的に自社資源(主には人材)では不足します。その事業を成功させるために最適資源を社内と社外の壁を取り払って調達できるのであれば、理想です。さらには撤退の場合速やかにこれらの資源を手放せる必要があります。

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 上記これらの課題に一定のソリューションを提供しているのが、「コーポレートアクセラレーター」であるのかもしれません。もちろん万能の方法論等ありませんし、コーポレートアクセラレーターにも課題が存在します。その辺はPart.2で頑張って書きたいと思います。

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