先日、ビジネススクールのベンチャー系事業のビジネスプラン発表会で審査員というか、講評者として各チームに対してコメントさせて頂きました。簡単に言えば「やることを前提としたもの」と「そうではないもの」では資料の出来や内容ではなく「迫力」が違うということですね。
「やらない」という選択肢があること
社会起業でもビジネススクールのクラス活動でもそうなんですが「やらない」という選択肢があることは大きいです。なかなか新しい事ができない!という意見はあるんですが、では、いざ「やって良い」となると、人は実は物凄いフラつきますね。つまり、人は「やらなくて良い」という選択肢があると、周りに責任を転化して動かないことを正当化しがちです。しかし、実際に実行を前にするとかなり怯む傾向があります。このような人を何度も見てきました。
水平に広げ続けるが、いつまでも垂直に進まない
これは、特にビジネススクール出(だけではないでしょうが)に多いなぁと思ってます。ビジネススクールではいわゆる「引き出し」が増えます。MECE、つまり、漏れなくダブり無く、調べたりすることですね。最近はそうでもないという感じもありますし、ビジネススクールも素晴らしいんですが、二つの欠点があると思います。
この点ですね。つまり、実行そのものは学べないのですが、様々な手法は覚えるわけです。となると、データを揃えないと動けないなど、いつまでも予行演習の延長になっているケースを良く見ます。市場調査を続けているケースです。だったら、一人ユーザ捕まえて、1000円でいいから試して下さいという形で実験をした方が早いです。
問題は起業そのものが研究に近いということです。つまり、机上でいくら検討しても、実験して色々試すまで(実際に売りに行くまで)は答えは出ないということです。
市場調査もせずに、考えもせずになんでもやってしまうべき!とまでは思いませんが、いっそのこと考えないで動いた方が早くないか?というところです。
ではどうしたら良いか
「あれだけ新規事業を会社内で行って自分は実行力があると評価されていたのに何故動けないのか?」と外部から見て、あるいは自己認識されている人も多いかも知れません。問題は・・・
会社内の新規事業と起業のゼロイチ工程では実行していることの種類が異なる
ということだと思います。会社の新規事業は実行力があっても、その実行の殆どは既にお膳立てされているのです。例えば、海外に単独で乗り込んだとしましょう。これは「ゼロイチ」に近いかも知れません。しかし、給料もあるし、売る商品もある、(対応は悪かったとしても)本社側で対応してくれる人も居るとしたら、自分が実行しているのは「販路を開拓する」「輸出入のチャネルを創る」などあくまで全体の一部に過ぎません。
ゼロイチの工程ではスタートアップでは何も無いのです。
つまり、相当、垂直方向(実行方向)に向かわせないと、いつまでも水平方向に動き続ける事になります。
人間は弱いんです。自分がどんなに屈強な過去や武勇伝があろうが、市場に晒されればか弱い存在に過ぎません。逃げ道があれば本当にいくらでも逃げます。
問題は会社員と違って、相当のお金持ち以外には生活の問題が出てくることです。
結局、垂直方向に本気で動くのは相当に金銭的に危機的状況になったとき。問題は打ち手が限られてしまうことと、会社内でのトラックレコードを起業の世界ではあまり評価してくれないか、一部の起業家的に見える会社を出た人は、格上げされてしまい、自らを滅ぼしてしまう。
かく言う私も長くフラフラしていたので人の事を言えませんが、自戒の意味を含め。
市場に向けて行動し、その結果を見て内省して更に行動せよ。社会は決して自分を助けてはくれない。天は自ら助くる者を助く。
ビジネススクールを出た人が陥りやすい罠に関してまとめてみました。