消えゆく手
「消えゆく手 リチャード・N・ラングロワ著」という書籍があります。英語で「Vanishing Hand」という考え方です。
簡単にいえば1880年までが「見えざる手・Invisible Hand」その後は、大手企業の垂直統合で知られるVisible Hand、それが1990年にVanishing Handになり、スタートアップのような存在が再び権力を持ち出すという形です。これは「権力の終焉」のような本にも「日本4.0」のような本でもスタートアップに市場の意思決定が移っている(とまではいいませんが、市場の未来を決定する上で今まで以上に力を持ち出した)と述べられております。
大手企業の下請け化
下請けという言葉が良いか悪いかわかりませんが、実際に起きている現象です。例えばハードウエアで顕著ですが、スタートアップ企業の製造を大手企業が受け持とうというものです。これは広域にはスタートアップからみれば「ファブレス経営」ですね。訴訟でいろいろありそうですが、時代を席巻した半導体ベンダーのQualcomm(スマホ・携帯の通信チップとして大量に使われている)も工場は持っていなかったと思います。ファブレスは資本力のないスタートアップには有効なモデルということですが、Qualcommまで来ると「スタートアップ」というよりも超大手企業ともいえます。ある日気づいたら恐ろしく大きくなっているというものです。「ファブレス経営とは?」あたりをご覧になられてください。デメリットもありますが、メリットもあります。
次はどうするのか?
問題は今後どうするか?ですね。Fabの方はホンファイで有名ですが別方向に巨大化できる。ここまで来ると下請けとも言い難い。一ついえるのは「垂直統合モデル」というものが難しい。その考え方をもっとエコシステム型(持つもの・持たないもの・周りとの共創)に持っていく必要はありそうですね。
信頼できる上下差の無いお互いが助け合うエコシステム(与贈循環)が物凄く重要
いろいろな活動を通じて思うのは大手企業のノウハウやリソースにも相当なものがある。これを有効に「再度」使うのがオープンイノベーション(ちなみに、そもそも日本はオープンイノベーションでしたが!)ともいえるかも知れません。