01Blog / 社内起業を興すために必要なこと

2016.04.16

社内起業と起業は全く別のプロセスだと思います。もちろん、新しく事業を興すわけですから全く別というと言い過ぎなんですが、イメージとして70%ぐらいは違うという感じですね。社内起業を沢山したら起業が成功するか?と言われるとそうでもないですし、では、起業家が社内起業に向いているか?と言われるとちょっと違うと思います。但し、特に社内起業は起業から学ぶ事も最近は多いなぁと思っております。

社内起業とは何か

社内ベンチャーという項目のWikiがあります。Intrapreneurshipという単語で英語の方にはもう少し詳しく書いてあります。アンゾフのマトリクスでいうところの既存製品・市場(製品の色替えやラインナップの拡充 / 市場浸透)ではなく、新市場または新商品(サービス)、または多角化を狙うところになる感じです。

社内起業の難しさを知る

私は物理的に不可能な事以外はできると思っているのですが、現実的に様々な企業の方とお話すると、市場浸透以外のいわゆる新規事業・社内起業的新規事業を相当長い期間社内で興せていないという事実に直面します。これは得に大げさに言っているわけではなく、実際のヒヤリングとして、、

10-20年の間(市場浸透以外でかつ「自主的」な)新規事業を興せていない

という声を実際に少なからずの会社で聞きます。

社内起業で重要なモチベーションと正しい愛社精神

起業は確かに大変ではあるんですが、自分で方向性をその場で決められます。市場との対話を通じて自分で決める起業と、市場との対話に加えて、社内の人に決めてもらう要素が極めて大きい社内起業は正直言いますと(短期的な個人の生活的な問題を除けば)起業よりも大変だと思うこともあります(起業で最終的に勝てるかどうかはともかく、初動は少なくとも起業よりも大変だと多くの企業出身の起業家の方は頷くのではないでしょうか)。このため、モチベーションの部分がとても重要だと思います。本来はあまり会社員では考えないのですが、何故、あなたはこれをやりたいのか?ですね。

(愛社精神は最近はボロカスにも言われておりますが)もう一つ重要なのが正しい愛社精神だと思います。古い考えかも知れませんが、飯を食わさせて頂き、育てて頂いた会社や同僚に恩返しするのは私は悪い事だと思いません。

制限をとって考えるということ

私自身が、実は周りの事を結構気にします。なので、会社員の頃は「本当に合田さんがやりたいこと(今必要なこと)はなんですか?」と何回か聞かれた事があります。例えば、この製品を成功させるためにはこの試験を実施した方が良いが、既に組み上がっているので、現場の人の配慮を考えると。。というものです。

もちろん、食品のメーカーでGPS向けの半導体を創りたい!というのであれば、時に、転職したり起業したりはしないとならないでしょうが、その会社に関係あるドメインであれば既存の職種や部署に拘らず「このような事をやりたい」ということを考えられるかどうかです。

実はこれは非常に難しいと思います(実際私は会社生活の最初の10年間は全然できなかったと思います)。

社内へのマーケティングであるという考え方

社内調整・稟議と聞くと卒倒しそうで、脂汗をかきそうな人も居るでしょうが、ある方が社内へのマーケティングだと考えれば良いとおっしゃってました。これは発想としてはいいですね。ボスマネージメントを意識しましぃう。

少なくとも社内で良い事業を立ち上げられている方はとても仲間が多い。まさに「政治」のできる方です。ダイレクトに分かってくれない!とぶつかるのはなんとも今ひとつ。リソースは起業家がヨダレを垂らすレベルのものが多いですので、是非、社内の多くを味方にしていただきたいと思います。

正しい野心と貴族の遊び

最近は相当な人間も起業世界に出てきているのを肌身で感じるのと、スタートアップのスピードが物凄い早いので、ここは「危機感を」と前置きをしておきますが、私は、会社内ですぐにはやらせてもらえなくても言い続けているとやらせてくれる傾向が日本企業にはある気がしてます。しかしながら、社内調整があまりにも激しくて、厳しい企業も多いと思います。この場合、ベンチャー業界で言うところの「貴族の遊び」が発生してしまいます。多くの会社で実は新規事業を本気では興したくないという状態を目の当たりにします。

仮に、それが完璧なものではないにしろ、新規事業の関連者が正しい野心と志を持っていると思えるのであれば、それは素晴らしいことなので、是非、新しい事業を興すために正しい野心を持って邁進するべきかと思います。多くの場合に、貴族の遊び系・ガス抜き系であればまだしもこれはどう見てもリストラ対策じゃないか?と思われる新規事業施策が実際にとても多いんです。

新規事業を本当に興そうと思っている活動であれば、それは明らかにチャンスです。

今はダメでも、何年か後に振り返った時は(自分の想いだけで市場的に受け入れられない顧客の発明モデルはダメですが)、良いインパクトを会社に起こしている志士になって頂けたらと思っています。

なぜその会社が実施するのか

さて、話は変わりますが、これは個人的には重要な要素だと思います。たまに、あまりにも会社と脈絡の無いビジネスモデルを聞くことがあります。ブランドイメージはレバレッジも効きますし、足も引っ張ります。何故、この会社がそれを行うのか?という非常に会社の理念的なところですね。正直、企業内では会社のリソースは長い間積み上げられたもので、非常に強大です。良く、勘違いを感じるのは「全くの飛び地」ですね。「全くの飛び地」は少なくとも最近、パワーアップしているスタートアップに勝つ理由を合理的にはなかなか見つけられません。闘いなのですから、是非、有利な闘いをと思います。

絶対に社内に閉じない

程度の問題はありますが、社内に閉じて新規事業は難しいと思います。まずは弱い紐帯の強みが一つ。次に、社内の都合は分かりますが、女性向けのサービスを全員男性のチーム、海外向けのサービスを全員日本人(日本の強みのある素材とかであればともかく)という事をかなり散見します。社内にどんな事情はあろうが、一歩、会社を出れば自由競争しており、会社内にどんなに活用できてはいないリソースをなんとかしたくても、申し訳ないですが、無理なものは無理です。

明らかに結果の出ない施策を打つのは個人的には正しい野心を持ってできるだけ避けて欲しいとは思います。というのは、当たり前のように当たり前に失敗するので、その結果、自分たちの将来の打ち手を少しづつ蝕んで行きます。自分たちの後輩のために勇気を持った決断をしましょう。

出る杭という言い訳に陥っていないか

日本は出る杭が打たれるといいます。でも本当かな?っと思います。Job Discription の強い欧米や、トップダウンの強い大陸型に比べて、ボトムアップで新規事業の興せる珍しい国だと思うのですが、私は間違っているのでしょうか?

あと、一つ思うのは、起業サイドから見て、社内起業で失敗すると、どんなリスクがあるかが最近はほぼ理解できません。いいところ左遷?ですかね。仮にその会社でダメでも行動は転職に有利にしかならないし、是非、合理的に社内起業の失敗のリスクに何があるかをお教え願いたいです。

Whenever you see a successful business, someone once made a courageous decision. どのようなときでも成功した企業は、過去に勇気ある決断をした個人がいた by ドラッガー

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