Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever. 明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるように学べ。by Mahatma Gandhi
行動は重要であるが
「行動こそ全てであり、実行力が足りない」「考えている暇があれば行動」という話を良くします。また、研修の効果(物にもよりますが例えば座学)に関しては事業創造に携わっていてたいへんな懐疑心を持っておりました。効果は無いんじゃないか?と。しかし、自分自身がビジネススクール(経営学修士)を学びながら、その効果も強く感じた事実もありました。研修や座学は必要はないのでしょうか。決してそうでもないでしょう。後はビジネススクールで学んだのが「人から学ぶ」という点です。果たしてどうなのでしょうか。
70:20:10の法則
70:20:10の法則というのがあります。この70/20/10 Modelの原典は Michael M. LombardoとRobert W. Eichingerによって書かれた"The Career Architect Development Planner"ですね。下記の絵が分かりやすいでしょう。
人材開発において70%が経験から来るもの。20%がメンタリングや人から来るもの(周りの人のFeedbackでしょうね)。10%が研修や教育から来るものという比率です。これはなんとも納得感があります。
多分、70%の実力を創る「実践」は素晴らしい。しかし、過去から先人が積み上げた「知識」で補強する方がいいですね。「星野リゾートの教科書」では星野リゾートの経営に過去の経営学のエッセンスを良く活用している話が出てきます。つまり、実践だけではなく常に「学ぶ」事が必要だと思うのです。
弱い紐帯の強み
上記の70/20/10の法則で「Informal Learning」があります。これはいわば現在属している組織やコミュニティの方々のFeedbackともう一つが弱い紐帯の強みに代表される自分のコミュニティにいない人からの情報があると思います。Wikiによりますと・・
社会学における「弱い紐帯の強み」"The strength of weak ties" 説はグラノヴェッターの名を高からしめた。この説は、緊密な社会的繋がり、例えば親友や核家族は力を行使するには適当だが、密なネットワークは高度に冗長な情報を持つため、探索にはほとんど無用であるとするものである。一方、弱いつながり、即ち単なる知り合い関係では情報の冗長性がはるかに低いため、探索には極めて有効である。しばしば情報は力よりも重要であるから、個人が発展していく(求職等)には弱い繋がりの方が家族や友人関係よりはるかに重要となる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/マーク・グラノヴェッター
人から学ぶというのは起業でもメンタリングとして非常に重要です。何故なら、自分の事は自分ではなかなか理解できないからです。特に起業の場合は、別のテーマで起業(実業)している人の知見は宝です。
では日本では研修の位置づけはどうなのか
起業(事業創造)というカテゴリーに関していうと、全体的に起業するの人はそもそも少ないし、ハイリスク・ローリワード(日本の場合は社内でも社外でも事業創造する上でリスクは高いがM&Aの価格も安く、給料や地位もたいして上がらないので得られるものも少ない ≒ 何もしないのが合理的)の新規事業を社内で行うのもなかなか難しい。となると、研修教育の部分が目立ってしまう(最もコストが安くリスクが低い)。一方で起業でも事業創造でも特にStartup(急成長型)のビジネスを構築した人は非常に少ないですし、事業創造自体の経験を持った上司も少ないので、メンターや薫陶で得られる20%も少ない。そして経験もできないので70%も少ないというのが今の日本の現状では無いでしょうか。
なので、この現状をみると70%の実行をもっと行う必要がありますね。日本では70%の実行を行うことに今はハードルが物凄い高いので、研修に話が偏ってしまい、予算も投入されてしまいます。この結果「研修」は駄目だと成りかねないですね。
今は、実践がとにかく重要。但し、学ばなければ高みには辿りつけない。
コーポレートアクセラレーターは70:20:10の全てのプロセスを含む
余談ですが、欧米のアクセラレータープログラムが何故事業創造に有効か?というと、ベンチャーを募集するので、必ず実行はされるので70%の実行が担保される。それと同時に一般的に運営者が起業家であることが求められるので20%の薫陶が得られる。最後の10%の研修ですが、これも見えないだけで相当社内向けにやりますのでということですね。こんなところでコーポレートアクセラレーターの効能が分かってしまったのはなんとも面白いものでした。