先日九大の学生さんとお話する機会を頂いた。また前回は高知工科大学や高知大学の学生さんともお話させて頂いた。最近の起業ブームを受けて特に地方では中央の情報はあまり入ってこない(入ってきてもメディア主体なので結果的に一部)のもあってか「起業したい」という学生さんも居る。これが多いか少ないかはわからない。私の話したのは一部であり、全体としてはまだまだ大企業志向が強いかも知れない。
私は学生起業に反対である。もちろん、日本の場合は学生と社会人の経験の差が激しく、会社に入ってから社会人として磨き上げるというのがあるので(今もそうだろうか?そうだと予測)、インターンなどもまだまだ海外に比べて遅れており、それを補う上で、ビジネス経験を学生の内に積んでおくということ自体には賛成である。起業自体がそもそも手段であるし、これをやりたくて居ても立ても居られない。学校なんかに行っている場合ではない!というスティーブジョブス系の人は起業する方が良いであろう。但し、ほんの一握り、または非常に少数の人がこれにあたると思う。私も何名かそのような人にあったことがあった。このような人は大学を早期で見限ってしまっている。
一方、普通に大学に通っている人はそのまま社会人として社会人経験を積んだ後に起業した方が良いのではないかと思う。私の独断と偏見であるがいくつか理由がある。
①大きくなった会社の状態を実感する
これは自分が起業しても人間は経験したことしか理解できないとすると、悪い経験ではない。
②大きな会社の意思決定の妙を知る
必ずしも市場原理では動かない。この意思決定やその遅さの原因を体感しているのは大きい。結局、Startupと言えども大手に採用されて大きくなるケースも多々あるのであるから、敵情視察と思えば良い。
③日系企業の良さを知る
私的にはこれが大きい。礼儀などは古臭い!というのもあるかも知れないが、日本は経済停滞しているとはいえ、多くの人は勃興するアジア圏で戦う可能性がある。そうなると、欧米とは異なるのであるから各国でもちろん大きく異なるがアジア流儀の礼儀正しさを覚えることは非常にプラスになると思っている。簡単に言えば、「国際競争力を高める」ために企業に就職を最初にした方が良いというのが私の考えだ。もちろん、日本的なものが必ずしも良くはないし、悪評が多いこの頃であるが、少なくとも過去には絶賛された時期もあり、多くのアジア諸国で信頼されているところでもある。
では、どんな時に起業か?というと私が答えるにはなんとも役不足であるが、一つは学ぶことがなくなった時、成長の速度の低下を感じた時、その時に、転職でも良いし、あるいは、そこに「起業」という選択肢を持っておくと人生は広がるのではないか?と思っている。
多くの優秀な学生の皆さまが素晴らしい人生を送れることを心から願っている。
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